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リパトリエーション(資金の本国還流)により、ドル高継続 [政治経済]

 心配されたドル安はとりあえず回避されたようです。以下は、ロイターより引用ですが、その辺の事情を分析しています。

 外為市場では最近のドル上昇の一因として、ヘッジファンドの手じまいに伴う米国へのリパトリエーション(資金の本国還流)があるとの観測が浮上している。9月末の欧米大手金融機関の決算は相変わらず苦しいとの見方から、運用難が続くヘッジファンド向け融資が水面下で再び締め付けられている可能性があり、リパトリエーションが一巡した後は、下支えを失ったドル相場は再び不安定になりかねないという。

 外為市場では、勢いづいたドルの上昇が止まらない。ユーロ圏で四半期ベースの国内総生産(GDP)が95年の統計開始以来初のマイナス成長を記録、資源高を背景に高い成長を続けていた豪州も急速な景気減速が明らかになったことで、米景気は減速するが他国・地域は好況を維持する「デカップリングという幻想が崩壊した」(在京外銀の為替責任者)。ファンダメンタルズの変化を材料に、これまで買い上げられたユーロや豪ドルが大きく下落する一方、歴史的な安値圏へ下落していたドルが急速に反発した。18日までにドルは対ユーロで半年ぶり、対豪ドルで7カ月ぶり高値を更新した。

 予想を超えるピッチのドル高には、首をかしげる向きも少なくない。米国で発表される経済指標は引き続き景気減速を示すものが相次いでおり「相対感とはいえ、ドルを買い上がれる状況ではない」(都銀ディーラー)ためだ。ここ最近、ドルの戻りを売り仕掛け続けたというある外銀ディーラーは、ドルの急上昇にポジションを維持することができず、手じまいの買い戻しを入れた。「これまでの米国をめぐる悲観論は行き過ぎだった、ということなのか」と話す。

 その外為市場でドル急上昇の一因として指摘され始めたのが、ファンドのリパトリ需要の高まりだ。欧米大手金融機関の格下げや業績下振れ懸念がくすぶる中では、ファンドの取引相手となって収益を稼ぐプライムブローカー業務も苦戦が続き、ヘッジファンドには融資姿勢の厳格化を通じてレバレッジ縮小への圧力がかかりやすい。ファンド側も原油先物市場の取引規制など運用難が続く中で解約要求に迫られ、手じまいに動く必要があるのではないか――とのストーリーだ。

 ドルの上昇が加速し始めたのが8月前半から半ばというタイミングも、参加者の目には「投資家がファンドを解約するには、およそ45日前までに通知する必要がある。プライムブローカーの決算に合わせてポジションを縮小するなら、(ドル売りの解消を始めるのは)ちょうどそのくらいの時期」(邦銀関係者)と映る。

 実際、市場筋によると8月以降、これまでドルを売り込んだファンドが「かなりの勢いで買い戻している」(在京外銀関係者)という。しかし、ヘッジファンド全体がどこまでポジションを縮小し、どの程度ドルを買い戻したかはもちろん未知数。プライムブローカー業務自体、今回の金融混乱で縮小されており、影響力はかつてほどない。

 「(ドル買い戻しの一因が一時的なリパトリである)可能性は否定できないが、だからといって(リパトリが一巡すると見られる)8月後半にかけてドルが急反落することに賭けて、急伸しているドルをもう一度売れるかといえば、かなり難しい」(別の外銀ディーラー)との見方もある。

 ドルの上昇がテクニカル的にも勢いづいてきたことで、最近のドル上昇局面では「比較的長期の投資を前提とする投資家の買いも出始めた」(ある都銀)といい、ドルに弱気の見方を示す向きが多かった市場関係者の間にも、変化が現れている。

 前週にゴールドマン・サックス証券が1年後のユーロ/ドル<EUR=>見通しをこれまでの1.45ドルから1.40ドルに引き下げたのをはじめ、他の大手行でもドル高方向へ予想を見直す動きも相次いでいる。「これまで過程がどうだったかはともかく、今後発表される各国指標や原油価格の行方によっては、結果として勢いづいてしまったドル高がさらに加速する可能性がある」(冒頭の外銀)との見通しも出ている。





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