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公的年金運用の実態と企業年金の崩壊の危機 [政治経済]

 先日報道されていたのですが、なんと公的年金の積立金運用で、2008年度実績が「10兆円の損失」になっていたことが明らかになりました。

 公的年金は国民年金と厚生年金を合わせて積立金140兆円ありましたが、そのうち、約90兆円を市場で運用していました。

 しかし昨年のリーマンショックと円高による金融危機で大幅赤字に転落。第2四半期(7~9月)が4兆円、第3四半期(10~12月)は5兆円と大幅赤字を記録、運用利回りも-10%台と大幅に落ち込みました。

 これは「財政検証」(今後100年の年金財政を検討)で、厚生年金の給付水準を「現役世代の収入の5割以上を確保」を目標とする水準から大きくかけ離れる結果となってしまっています。

 結果、今後の運用結果次第では給付カットという最悪のシナリオを作る可能性があり、年金不信にトドメを刺すことにも繋がりかねなくなってきています。

 ましてや今後、少子高齢化などによる労働人口の減少はほぼ約束されており、公的年金の歳入が減少することは避けられないとされてます。そこに来てこの運用損失は致命的とも言えるミスと考えられます。

 とすると、年金制度の完全崩壊が現実のものとなりつつあると言えそうです。

 一体どんな運用をしていたのか? 利益が出ないならまだ良いとして、元本減らしてしまうとは?という感じです。

 国民の老後の生命線(とは言っても必要水準よりずっと低い)なのに、それが給付カットになった日には…。

 本当に他人事ではない話です。

 最近の日本の社会保障制度の崩壊は冗談では済まされない程度になってきてます。やはり自分の将来は自分で守らないといけないのです。

 今から頑張って資産(財産)を作っておかないと、実際に年金制度(社会保障制度)が崩壊してからでは遅いのです。

 

 経営再建中の日本航空(JAL)は政府保証80%付を含む1000億円規模の大型融資を受けることは先日お話したのですが、その融資を引き出す経営改善計画に盛り込んでいるのが、退職給付債務を1600億円規模で圧縮する年金制度の改定だそうです。

 すでにそれはなされるものとして880億円の特別利益が、今年度業績予想に織り込まれています。


 勿論、現役・OBからの反対は必然であり、有志による年金削減反対の署名運動は開始されています。

http://jalnenkin.web.fc2.com/


 日本航空などで採用されている「確定給付型企業年金」と言うのは、読んで字のごとく給付額が確定されているモノであります。

 これは企業と信託会社・生命保険会社などが契約を結び、母体企業の外で年金資金を管理・運用し、年金給付を行うものです。

 しかし運用が上手くいかないと企業がそれに対して補填債務を負う必要があるのです。

 「確定給付型」の運用利回りが、08年度第3四半期時点(昨年12月末現在)で、過去最悪のマイナス16.24%に落ち込んだことが企業年金連合会の推計で分かっています。

 昨年の金融危機に伴った年金運用の失敗が大きな原因でしょう。要はこれに対する補填で日本航空は予算を数百億計上していたのですね。

 結果、今回の騒動となったのですが、日本航空は給付額が月額25万円もあったそうで、同業種の全日空の給付額が月額10万円だったことと比べると、これを知った全日空側が驚いていたそうです。

 この問題…どこを突っ込んだらよいのか分からないぐらい、問題点がたっくさん!(苦笑

 どうしようもない経営であぐらをかいてきた企業側の責任が大いに存在しますし、逆に会社がどうしようもない経営をしてるのを見て見ぬふりして、高額な給付額を欲しがる労働者側・・・基準がそもそも狂っているような気がします。

(参考)http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090706-00000202-jij-bus_all

 世間では昨年の金融危機で企業年金が破綻して、年金倒産している企業もあるというのに。

 実際に日本航空に限らず、企業年金は世界的な株価下落が原因で、その運用に大きな穴をあけている模様です。

 国内株価は昨年12月末時点で07年度末に比べ約3割落ち、年明け以降もさらに約1割の下落基調のため、その運用が08年度を通じて最悪となるのは確実とみられています。

 09年度はさらに悪化するかもしれません。

 公的年金もダメで企業年金もダメ…。サラリーマンの方々の苦悩が見てとれます。各種の自己防衛(自分自身の現在・将来の生活防衛)は今こそ必要な時期と考えます。

 年金問題を考える


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